失業保険とは、どういった保険なのでしょうか。現在の雇用保険制度の中に、実は「失業保険」という言葉は使われていません。雇用保険の中の「基本手当」が、通称として「失業保険」と呼ばれています。
また、厚生労働省のホームページの基本手当の説明で「基本手当(いわゆる通常の失業給付)」と書かれていることから、
- 失業保険=基本手当=失業給付
と考えることができます。
「失業保険」という言葉は、雇用保険やハローワークを解説している書籍・本やホームページで曖昧な使われ方をしています。しっかり整理して理解しましょう。
当サイト、ハローワーク情報局ではわかりやすく説明するために「失業保険=基本手当=失業給付」の意味合いとして、広く使われている「失業保険」という言葉を使って説明しています。
このページの読みたい項目からどうぞ
失業保険とは基本手当のこと!
まず、現在の雇用保険の全体図を見てみると、失業保険という言葉は使われていないことがわかります。
雇用保険全体図と基本手当
失業保険に似た言葉として「失業等給付」という言葉がありますが、失業等給付は「求職者給付」「就職促進給付」「教育訓練給付」「雇用継続給付」といった4つの給付をまとめた言葉なので、失業保険とは違っています。
失業保険とは仕事を辞めた時にもらえる手当?
一般的に使われている「失業保険」という言葉は、
- 会社や仕事を辞めた時に、一定の期間、一定金額の給付金をもらうことができる
- それに付随して、なんらかのお金をもらうことができる
といった意味合いで使われています。
そして、この「会社や仕事を辞めた時に、一定の期間、一定金額の給付金をもらうことができる」手当が、基本手当なのです。
基本手当とは
基本手当とは、それまで雇用保険を支払っていた被保険者が会社辞めた時に、失業中の生活費を保証するために支給される手当です。
誰でも支給されるわけではなく、支給金額や支給期間も場合によって違っています。
- 働く意志と能力がありながら再就職できない
- 新しい仕事を探し早く再就職できるよう求職活動をしている
などの条件もあります。
基本手当(失業保険)についてもっと詳しく知りた方は、
をご覧ください。
どうして失業保険という言葉が使われているの?
なぜ「失業保険」という言葉が一般的に使われているのでしょうか。理由は大きく
- 今までの雇用保険・失業保険の歴史
- 「失業」という言葉の印象・イメージ
の二つを考えることができます。
1.雇用保険・失業保険の歴史
失業保険法の成立
近代の日本において、最初に成立した雇用保険・失業保険に関連する法律は、1947年(昭和22年)に成立した「失業保険法」でした。
この「失業保険法」の中で、失業保険制度が運用されました。これが、「失業保険」という言葉が使われるようになった始まりです。
失業保険法の廃止と雇用保険法の成立
1974年(昭和49年)になると、「失業保険法」を改正した「雇用保険法」が制定され、同時に「失業保険法」が廃止されました。
このとき、失業保険制度に代わって雇用保険制度が作られました。保険料の徴収などに関する法律が制定されることで、保険料の徴収と保険とが一本化され、現在の雇用保険の軸となる制度が始まりました。
失業保険法のなごり
このような歴史から、今もなお「失業保険」という言葉が使われているのは、昔の「失業保険法」のなごりだと考えることができます。
2.「失業」という言葉の印象・イメージ
雇用保険は、「雇用」されている最中、つまり普通に働いている最中はあまり利用することがありません。給与から雇用保険の掛け金が天引きされているだけで、給付のありがたみを感じることは少ないのです。
しかし一旦「失業」する、つまり会社を辞めてしまうと、毎月もらえていた給料がなくなってしまった中で、雇用保険からお金をもらうことができます。
この「失業してしまった時にお金がもらえる」といった印象がとても強いため、「失業保険」という言葉が定着していると考えることができます。
本来は「雇用のための保険」なのですが、印象としては「失業した時に利用する保険」となっているのです。
失業保険の歴史
失業保険のまとめ
ハローワークに行き、説明を受けたり書類を提出する際は、基本的には「失業保険」といった言葉は出てきません。「雇用保険」「基本手当」「求職者給付」といった言葉が使われています。
雇用保険の失業等給付受給資格者のしおり
「失業保険をもらいに来たのに説明がないよ?」などと混乱しないためにも、しっかりと言葉の意味を理解しておきましょう。
続いて、失業保険を受給できる資格や条件については「Q.失業保険の受給資格・もらえる条件って?」を、支給される金額について知りたい方は「Q.失業給付はいくらもらえるの?」をご覧ください。