ハローワークに初めて行くときにはどんなことを聞かれるんだろうか、何を話せばいいんだろうかとちょっと緊張してしまうものです。
そもそもハローワークで行われている職業相談とは、仕事を探している自分と、働いてくれる人を探している企業とのマッチングです。
まず自分で求人情報端末や、ハローワークにおいてある冊子に載っていた企業の中で気になる企業を探して、その企業についてのことを相談窓口で教えてもらいます。
現在も求人を行っているのか、現在どれぐらいの人数が応募しているのかといったことから、その企業の雰囲気や給与などの待遇面についても確認することができます。
そうして、その企業で働きたい、求人に応募したいと思ったら、窓口担当者にそのことを伝えます。そしてその企業で自分がどのように活躍できるのか、どんな貢献ができるのか、これまでの経験や、仕事に役に立つスキルや資格ということをアピールします。
ハローワークでは、それらをすべて含めて職業相談と呼んでいます。
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職業相談の大まかな流れ
仕事を探す方の中には、やりたい仕事がはっきり決まっている人もいれば、漠然と働きたいけれど、何をしたいのかはよく分からないという人もいます。
仕事探しは自分探し。
迷いのある方は、まず自分自身を見つめ直すのも、有効なステップです。
ハローワークでは、求職者の状況に合わせて、さまざまな支援を行っています。
- 自己分析
- 労働市場分析
- 希望条件の決定
- 求人検索
- 応募準備
では、具体的な手順とサービス内容をみていきましょう。
どういう手順で相談するの?
自己分析
あなたは、やりたい仕事や個性に合った仕事で活躍する人を、羨ましく思ったことはありませんか?
そんなときに役立つのが自己分析です。
適性検査では、表面的な感情からは分からない、自分の深層心理や特性に気付くことができます。
入試や採用試験で適性検査を受けて、結果がわからずモヤっとした方もいらっしゃるでしょう。
ハローワークでは、もちろん結果も知ることができますので、目指す仕事の分野や方向性を考える参考にしましょう。
また、自己分析シートなどを使って、自分の学歴や職歴を書き出して、そのときに感じた気持ちなどを振り返ることで、自分自身、どんなことが楽しいと感じるのか、どんなことがいやなのか、具体的に発見することもできます。
ずっと事務職だったけれど、本当は接客の方が好きだったとか、他人の指示で動くより自分で工夫できる仕事が楽しかったとか、いろいろな気付きが得られるはずです。
書き出しの作業は面倒に感じる方も多いですが、今後の仕事選びに悩んでいる場合は、ぜひ一度、真剣に自分に向き合ってみてください。
書き出しの作業が進まないときや、自分で分析しきれない場合は、窓口の職業相談員やセミナーの講師に相談しましょう。
労働市場分析
希望の仕事がイメージできても、該当する求人がなければ応募できません。
ハローワークでは、労働市場の分析として、地域ごとの業種や職種別の求人件数と求職者数を比較したデータなどを紹介しています。
自分の希望する求人の競争倍率や、求人の出やすい時期、標準的な雇用条件などを調べ、場合によっては、別の仕事も検討しましょう。
希望条件の決定
自分の希望や労働環境を理解したら、働くときの条件を考えましょう。
給与は高い方がいい、残業はない方がいい、休日は多い方がいいと、欲を出せばきりがありませんが、先の労働市場分析などを参考に、相場を考え、納得できる範囲を決めていきます。
こだわりのポイントは人それぞれです。
例えば、トイレのきれいな会社であること。
これは求人票では分かりませんが、面接に行く際に必ずトイレを借りてチェックするという方もいらっしゃいました。
また、条件の優先順位も重要です。
自分の中で譲れない条件もあれば、そうでもないこともありますね。
求人情報を見比べていると、給与額や賞与の有無などに目が行って、重要なはずの条件を見落としてしまうことがよくあります。
優先順位をしっかり考えておくことで、求人情報の見方も変わってくるはずです。
求人検索
希望条件が決まったら、求人情報を調べましょう。
求人情報検索端末(パソコン)を使って、条件に合う求人を検索します。
検索結果の数があまりに少ない場合は、年齢等の指定を外したり、条件を見直す必要もあるかもしれません。
ハローワークの職業相談員は、日々、求人情報を閲覧していますから、どの条件を見直すといいか、アドバイスをもらうのもいいでしょう。
職業相談員が職業相談の中で、一緒に、あなたの希望に合う求人情報を探してくれる場合もあります。
応募準備
求人検索と並行して、応募の準備を進めましょう。
一般に、求人に応募する際は、下記の書類が必要になります。
- 履歴書
- 職務経歴書
- ハローワークの紹介状
履歴書は、市販の用紙に手書きするか、パソコンにテンプレートをダウンロードして、入力して印刷します。
※ハローワークインターネットサービス/履歴書・職務経歴書の書き方から、ダウンロードできます。
PDFファイルとExcelファイルがありますので、パソコンで入力したい方は、Excelファイルをダウンロードしましょう。
自宅に印刷できる環境がない場合は、コンビニのコピー機で、PDFファイルの印刷ができます。
履歴書を、A3サイズやB4サイズで印刷したい場合は、出来上がったExcelファイルをPDF形式で保存し、USBメモリなどに入れて持って行き、印刷しましょう。
ネットカフェやコピーサービスを請け負う店舗で、Excelファイルなどが印刷できるところもあります。
職務経歴書は不要な求人もありますが、履歴書では職歴や経験が表現しきれない方や、アピールしたい気持ちのある方は、添付しても構いません。
これらの書類は、面接の際に持参する場合と、事前に郵送し書類選考を受ける場合があります。
特に書類選考がある場合は、履歴書や職務経歴書の良し悪しで、面接に進めるかどうかが決まりますので、書類は丁寧に作成する方がいいです。
分かりにくい文章や、独りよがりな内容にならないよう、ハローワークの職業相談員に添削してもらい、ブラッシュアップしていきましょう。
ひとつ注意点ですが、複数の職業相談員に相談した場合、同じ職務経歴書の書き方でも、人によって指摘される内容が違う、Aさんのいうように直したら、Bさんにはダメ出しされた、というようなことが起こる場合があります。
これは、職務経歴書の書き方に「正解がない」ためです。
見出しの付け方や数、順序など、どのように書いても間違いではありません。
また、人によって、文章や表現の好みはまちまちです。
長い文章を丁寧と感じる人もいれば、面倒と思う人もいるでしょう。
ハローワークの職業相談員は、各自の経験(どんな経歴書を書いた方が採用されたかの成功事例など)に合わせて添削指導をしますので、どうしても個人差があるのです。
相手によって違う指摘を受けることは、日常生活でもよく起こりますね。
そのようなときは、混乱して振り回されるのではなく、より自分が納得できる方を選びましょう。
ハローワークの紹介状は、ハローワークが発行しますので、皆さんが用意する必要はありません。
ハローワークの職業相談員ってどんな人?
求職者のさまざまな相談に乗ってくれるハローワークの職業相談員は、どんな人なのでしょう。
ハローワークの職員は公務員ですが、実は窓口などの職業相談員の多くは臨時職員(1年契約・更新の可能性あり)です。
ハローワークに求人が出ていることもあります。
正規の職員でないと聞くと、不安を感じる方もいるかもしれません。
しかし、臨時職員といっても、企業側の採用業務経験者や、学校のキャリアセンターなどの経験者などが、優先的に選ばれています。
民間企業などで豊富な経験を積み、自ら厳しい転職活動を経てハローワークに再就職した方々ですから、実体験に基づいた有効なアドバイスをくれることでしょう。
職務経歴書の添削指導などで指摘の食い違いが起こるのは、このような多様な人材が採用されているからなんですね。
ところで、職業相談を受ける仕事には、いろいろな呼び方があります。
キャリアコンサルタントは、現在は国家資格になったので、この資格を持っている人しか名乗ることができません。
キャリアコンサルティング業務自体は、この資格が無くても可能です。
キャリアカウンセラーやキャリアアドバイザーなどの名称で、キャリアコンサルティング業務を行っている方は、キャリアコンサルタントの国家資格を持っていないか、別の資格を持っているということになります。
ハローワーク関連では、登録キャリア・コンサルタントという資格がありましたが、こちらは現在、ジョブ・カード作成アドバイザーに名称変更されています。
厚生労働省が行うジョブ・カード講習を修了すると、この資格を取ることができます。
文字通り、ハローワークや職業訓練校で作成するジョブ・カードの作成支援業務を行うための資格になります。
どんなアドバイスをしてくれるの?
職業相談とはいうものの、実際にはその人の生き方、価値観、生活態度や家庭環境など、さまざまな問題が関係してきます。
職業相談員は、決められた正解を示すためにいるのではありません。
求職者ひとりひとりに向き合い、その人の中から、その人なりの答えを導き出す支援をするのが目的です。
例えば、履歴書の記入に必要な志望動機ですが、ハローワークなどで配布される「履歴書の書き方」のサンプルをそのまま転記してしまう求職者もいます。
いわば「正解の丸写し」ですが、企業の採用担当者は、日々、多くの応募書類を見ていますから、すぐに気付かれます。
大量募集や特にスキルを要求しない仕事なら、それでも採用されることはあります。
しかし、重要な仕事を任せたい場合に、応募書類で明らかな手抜きをしているのは、マイナス材料にしかなりません。
特にハローワークのサンプルは、具体性に乏しく、誰にでも書けそうな内容になっていますので、「正解」と思うのはやめた方がいいです。
また、他人の作った文章ですので、面接などで受け答えをするときに、つじつまが合わなくなることもあります。
やはり自分の言葉で、自分の思いをまとめるのが一番です。
職業相談員にはいろいろな方がいますので、アドバイスの内容もさまざまですが、あなた自身が主体的に考え、行動する手助けをしてくれるのが、よい相談員です。
あなたに合った、話しやすい職業相談員に当たって、継続的な支援を受けたいと思ったら、個別相談の予約などを検討してください。
45歳未満のフリーターや無職の方を対象にしたわかものハローワーク(実際には45歳以上の方も利用できます)や、子育て中の方向けのマザーズハローワーク、キャリアアップハローワークなどでは、決まった職業相談員が継続的に担当する場合もあるようです。
自分の健康状態や家族の事情などで、思うような仕事に就けない場合もあるでしょう。
我慢の必要なときもあるものです。
状況が改善するまで、無理のない可能な範囲の仕事を探すのも、充分に価値ある選択です。
職業相談にお金はかからないの?
ハローワークの職業相談にはお金はかかりません。ハローワークは仕事探しのための公共機関ですので、無料で利用することができます。仕事を探している人をサポートするのがハローワークの仕事です。聞きたいことや知りたいこと、相談したいことなどがあれば、遠慮なくハローワークの人たちの力を借りましょう。
求職者がハローワークを利用する場合は、基本的に無料です。また、企業が求人を出すのも無料です。そのため、地場の中小企業の求人は、他の求人情報誌などよりもハローワークに集まる傾向があります。
まとめ
どんな人でもハローワークで求職相談をすれば無料で仕事を探すことができます。
また、相談員の方もとても親身になって相談してくれます。不安なことや疑問に思ったことは相談窓口でどんどん相談しましょう。最初は少し緊張するかもしれませんが、相談員の人たちは訪れる人たちが就職し、そこで長く働けることを願っています。
孤独になりがちな仕事探しのときに味方がいるということはとても心強いことです。経験豊富なプロの力を借りて、安心して仕事探しを進めましょう。