職業訓練にはどんな手当やメリットがある?
公共職業訓練には、技術やスキルが身につくほかにどんなメリットがあるのでしょうか。金銭的な手当のメリットと、お金以外のメリットに分けて説明します。
職業訓練には「公共職業訓練」と「求職者支援訓練(旧:基金訓練)」の2種類があります。違いを知りたい方は、職業訓練で取得できる資格のページをご覧ください。
このページでは、「職業訓練=公共職業訓練」として説明します。
このページの読みたい項目からどうぞ
職業訓練を受けている間の生活費って?
まず最初に気になるのが「職業訓練を受けている間は働いていないので、生活費はどうすればいいの?」という点です。
公共職業訓練では、一部を除いて無料で訓練を受講することができます。訓練を受けること自体にはお金がかかりません。でも訓練中の生活費はどうしたらいいのでしょう?
雇用保険では、失業中の生活費に困ることなく新しい仕事を探して再就職できるように、一定の求職活動を行うことを条件に基本手当(失業手当)が支給されます。よって職業訓練の受講中は、この基本手当を受給して生活することができます。
ただし、訓練の開始タイミングなどで受給期間が変わるケースもあるので注意が必要です。
職業訓練を受けられる対象者って?
職業訓練の対象者は、主に基本手当を受給している求職者です。具体的には、
- 離職前に雇用保険に12ヵ月以上加入していた
- 基本手当の受給中、または給付制限中
- ハローワークに求職申込みしている
といったことが必要になります。より詳しく知りたい方は、失業保険をもらえる条件・受給資格の説明をご覧ください。
雇用保険の加入実績がない、または加入期間が足らない方も、選考試験に合格すれば公共職業訓練を受けることはできます。ただし、職業訓練に関連する手当を受給することはできません。
職業訓練に関連する手当を受給できない方は、一定の支給要件を満たせば、求職者支援制度を利用して、職業訓練受講給付金(月額10万円)が受給できます。
職業訓練受講給付金の受給要件は雇用保険よりも厳しく、やむを得ない理由がある場合以外で1度でも欠席、遅刻、欠課、早退すると、その月の給付金は支給されないなどの細かい規定があります。そしてやむを得ない理由がある場合も、証明書が必要となります。
詳しくは厚生労働省のホームページ、職業訓練受講給付金(求職者支援制度)の説明をご確認ください。
職業訓練に関連した手当って?
職業訓練の受講中は、いろいろな手当を受給することができます。手当は1ヵ月単位で支給され、訓練開始後の1ヵ月分が翌月に銀行振込みされます。
受給できるお金をもとに、生活しましょう。
基本手当
雇用保険の基本手当と同じものです。訓練期間中に基本手当の所定給付日数が終わってしまった場合、訓練修了日まで延長されます。
ただし、所定給付日数の3分の2を過ぎてから訓練の受講が開始された場合は、給付の延長されません。注意しましょう。これを3分の2ルールと言います。
受講手当
訓練を受けた日、1日ごとに500円支給される手当です。最大40日分、つまり20,000円という上限があります。
通所手当(交通費)
自宅から訓練校までの交通費が支給されます。ハローワークが定める最も安い経路の公共交通機関を使った場合の、実費相当分が支給されます。通所手当の上限は42,500円となっています。
原則的には自動車等での通所は認められていませんが、事情によってはガソリン代が支給される場合もあります。
就業促進手当
就職が決まると、就職に関連した手当も受給することができます。
再就職手当
基本手当の受給資格がある方が早期に安定した職業に就いた場合、一定の要件を満たすと再就職手当が支給されます。
公共職業訓練を受講している場合も対象になりますので、就職がきまって早い時期に訓練校を途中退校する場合や所定給付日数が多い場合は、確認するようにしましょう。
再就職手当を受給できる条件
再就職手当を受給できる条件は、
- 待機期間(7日間)が過ぎている
- 基本手当の受給資格が決定した後に、再就職が決まった
- 所定給付日数が、残り1/3以上かつ45日以上ある
- 1年以上の継続的雇用で、雇用保険に加入する
- 再就職先や関連会社で、過去に雇用されたことがない
- 過去3年間、再就職手当を受給していない
- 再就職手当の申請を行った後、すぐに退職していない
となります。そして支給残日数から計算される金額が、一時金として支給されます。
再就職手当の支給金額
再就職手当の支給金額は、下記の通りです。
基本手当の支給残り日数が、所定給付日数の3分の2以上残っている方
- 基本手当の支給残日数の70%の金額
基本手当の支給残り日数が、所定給付日数の3分の1以上残っている方
- 基本手当の支給残日数の60%の金額
なお、基本手当日額の上限は5,805円(60歳以上65歳未満は4,707円)となっています。この上限金額は、毎年8月1日以降に変更されることがあります。
再就職手当についてより詳しく知りたい方は、厚生労働省のホームページから再就職手当のご案内をご覧ください。
就業促進定着手当
就業促進定着手当は、再就職手当の支給を受けた人が、一定の要件を満たすと受給することができる手当です。
就業促進定着手当を受給できる条件
就業促進定着手当を受給できる条件は、
- 再就職先に6か月以上雇用されている
- 再就職先で6か月の間に支払われた賃金の1日分の額が、離職前の賃金の1日分の額に比べて低下している
となります。
就業促進定着手当の支給金額
就業促進定着手当の支給金額は、
- (離職前の賃金の1日分の額-再就職後6カ月間の賃金の1日分の額)×再就職の日から6か月間内における賃金の支払基礎となった日数
となります。
就業手当
就業手当は、基本手当の受給資格がある方で、再就職手当の支給対象とならない形態で就業した場合に、受給することができる手当です。
就業手当を受給できる条件
就業手当を受給できる条件は、
- 再就職手当の支給対象とならない形態で就業した
- 常用雇用以外の形態で就業した
- 基本手当の支給残日数が3分の1以上、かつ45日以上ある
となります。
就業手当の支給金額
- 基本手当の日額の30%の金額×就業日数
となります。
常用就職支度手当
常用就職支度手当は、高齢者や障害のある方など再就職までの期間が長期化しがちな人を対象とした手当です。
常用就職支度手当を受給できる条件
常用就職支度手当を受給できる条件は、
- 基本手当の受給資格があり、基本手当の支給残日数が3分の1未満である方
- 高年齢受給資格者
- 特例受給資格者又は日雇受給資格者のうち、障害のある方など就職が困難な方
などとなります。
常用就職支度手当の支給金額
常用就職支度手当の支給金額は、
- 支給残存日数が90日以上の場合:基本手当の日額×40%×90日
- 支給残に数が45日~90日の場合:基本手当の日額×40%×支給残日数
- 支給残日数が45日未満の場合:基本手当の日額×40%×45日
となります。
就業促進定着手当、就業手当、常用就職支度手当についてより詳しく知りたい方は、「ハローワークインターネットサービス 就職促進給付」をご覧ください。
お金以外のメリットは?
職業訓練をうけるお金以外のメリットとして「利害関係のない仲間ができる」ということも上げられます。
知識や見聞を広げる
訓練校には受講する訓練しだいで、男女問わず年齢も20代~60代とバラバラの人達が集まってきます。
職歴や経歴も様々な人達が集まっており、いろいろな社会の話を聞くことことによって、見聞や知識を広げることができます。また講師となる先生にもいろいろな方います。
訓練校に通わなければ出会えないような人達が多く、話をするだけで刺激を受け勉強になるでしょう。
就職活動の情報共有になる
同じ就職活動をしてる仲間が集まるため、情報を共有することができます。
また就職活動が上手くいかない時も、家庭では話すことができないような事を訓練校の仲間には話すことができたりします。共有・共感することで、ストレスの発散にもなります。
一緒に仕事をする仲間を見つける
農業や林業などの移住型の訓練では、訓練を受けた仲間が集まって起業するケースもあるようです。
同じ目的を持っていたり、やりたいことが同じ人達が集まっています。協力することで、一緒に仕事をしたり、会社を作ることもできるでしょう。
一人で集中して訓練することもできる
訓練校では、必ずしも誰かと仲良くする必要もありません。訓練に打ち込みたい人にとっては、集中して取り組む環境も整っています。
自分の生き方を見つめ直す、職業訓練はそんなきっかけにもなるでしょう。
まとめ
職業訓練に関連する手当やメリットについて説明しました。
職業訓練を受けている間は基本的には収入がないため、金銭的に不安になりやすい部分があります。給付や手当をしっかり活用して、職業訓練を受けるようにしましょう。
続いては、職業訓練で取得できる資格や職業訓練の申込から卒業・就職につながる流れについてご覧ください。